「お前なんか育てるんじゃなかった」
半年前、わたしはこの言葉を思い出しては感情失禁を起こしていた。
頭と心と丹田に、自分が一番言われたくない言葉をかけて貰おうというワークで、わたしが選んだのはこれ。
実は丹田の声はもう聞こえていた。
親への恨みはもう消えていた。
それでも、頭と心の声って聞こえるのかな?
声をかけて貰った。
まずは頭に向かって。
とっさの反発。
わたしが産んでくれって頼んだんじゃない。
人のせいにしないで。
心に向かって。
悲しみの波がやってきた。
もう台風でも暴風でもない、お湿り程度の悲しみ。
なんでそんなにひどいことを言うの。
やっぱりわたしはいらない子なんだ。
丹田に向かって。
「でもわたしは生きたい」
うわ。
こんなに力強い言葉だったっけ?
丹田は言葉を聞きながら、しっかりと言い放った。
最後に、お腹から出てきた言葉を、頭に向かって言ってもらった。
「でもわたしは生きたい」
言葉はゆっくりと落ちてくる。
頭と心はふるふると震え、すぐに静かになった。
落ちてきた言葉に向かって丹田は、
「そうだ、そうだ!」
と力強く応えた。
頭と心の震えなんか、気にもとめていない。
グループの仲間たちから交互に声を掛けて貰った。
「でもわたしは生きたい」
「でもわたしは生きたい」
……。
そのたびに
「そうだそうだ」
と合いの手が入る。
聞きながら笑うわたしがいる。
いやな言葉を聞けば確かに少しは揺らぐけど、もう呪縛は消えてしまったと、そのとき思った。
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