『図書室の魔法』上下 創元SF文庫 ジョー・ウォルトン

ヒューゴー賞・ネヴュラ賞・英国幻想文学大賞受賞作。

なのですが、お話というより、本を読んで生き延びたすべての子どもたちへ、そしてSF傑作へのオマージュとなってます。

受賞ははなばなしいけど、きっと作品の出来以上にみんなくすぐられたんじゃないかな。
だって出てくる作家や作品が…
ル・グウィン『ゲド戦記』『所有せざる人々』『風の十二方位』
アン・マキャフリー『竜の探索』『竜の戦士』
トールキン『指輪物語』
ゼラズニイ『アンバーシリーズ』『わが名はコンラッド』
ディレーニー『エンパイア・スター』『バベルー17』
カート・ヴォネガット・ジュニア『猫のゆりかご』『ローズウォーターさんあなたに神のお恵みを』
ゼナ・ヘンダースン『果てしなき旅路』
ハインライン『愛に時間を』『宇宙の戦士』
主人公が恐怖に襲われて唱える言葉は『デューン』のアレだし。
ティプトリー・jrが女性だったことにびっくりしているし。

プラトンやシェークスピア、アシモフの科学エッセイ、ジョゼフィン・テイの『時の娘』シルヴァーヴァーグの作品が玉石混交だとか、クラークに、ファンジン『アンシブル』…etc、etc

1979年に主人公は15歳。
あ-、わかるわかる。同世代。これらの新刊が出るたびに狂喜乱舞したよね。

「もし逆境に打ち克つ方法が学べる本を選べと言われれば、……エレナ・ポーターの『少女ポリアンナ』を選ぶだろう。しかし、この世にSFというジャンルがあることを考えると、なぜこんな本を子供が読まねばならないのか、理解に苦しむ。正直な話、成長することと倫理的な態度について学ぶのなら、同じ子供向けでも『宇宙の虜囚』や『銀河市民』といったSFのほうが、よっぽどためになるのだ。」

パチパチ\(-o-)/

訳がところどころ怪しいけど、中高等学校の学校図書館に欲しい一冊!

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