『子は親を救うために「心の病」になる』

『子は親を救うために「心の病」になる』高橋和己 ちくま文庫 

タイトルが強烈ですが、ものすごく面白かった。

「真の解決は、親が子を救い出すのではなく、子に親が救われるのだと分かった時に訪れる」
多分これが、全頁を通しての通底音なのですが、何が面白いって、

4章「親とのつながりを持てなかった子の不思議な訴え」
5章「心の発達段階の最後、「宇宙期」とは何か」

全体のほぼ1/2をしめる家族システムが成立しない場合の症例報告。
理論ではなくて、現場の方なのですが、自分は体験してないのに、この通じなさが理解できるカウンセラー(精神科医)がいらっしゃるんだ~~とびっくり。
解放の方向も、普通になることじゃなく、社会システムに乗っかることではなく、社会的存在に「なる」→自分で「ある」へ向かっていて、にんまり。そうだよね~~~。

「彼らは「この世界」の心理システムを教えてくれる「親」を持てなかった、それは『人とつながれない不幸をもたらした。しかし、心理システムを完成できなかったということは、逆に、生まれたままの心に制限を加えていない、ということでもある。「社会的存在」から離れた「存在」は、ずっと自由で、ずっとひろく、安定している。」

あとがきを読むと、4章から執筆されたそう。
そうだろうそうだろう。だって呼ばれたもの。
最近この手の本、ほとんど読んでいないのに、なぜか。

ただ、この先生は「ある」が一応の決着かと提示されていますが、まだその先があるかもね、と最近わたしは感じています。
解決はできない、わからない、とストレートに書かれているところはとても好感が持てるのですが、当事者としては、「ある」→「響く」ルートがあってもいいかもね、と探求中。

コメント

  1. ぷりニャン より:

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    “彼らは「この世界」の心理システムを教えてくれる「親」を持てなかった、それは『人とつながれない不幸をもたらした。”まさにその通りだったなぁ。この本、ぜひ読んでみたいです!