60.怪しいホテル

大阪でひチャコさんのワークショップに参加しました。
駅から徒歩二分、ツイン一泊5700円/2人 寝室11畳風呂(洗い場付き)トイレ別という、広々としたビジネスホテルに宿泊。
1人3000円以下で外国人バックパッカー御用達。

夜セッションビデオも取ったけど、ホテルとは思えない明るさでありがたかった~♪

お風呂場もユニットバスじゃなくて、掛け湯はできるは、足は伸ばせるは。

設備は古いけど、ワークショップ会場へのアクセスも、梅田や難波へのアクセスも良くて大満足。

面白いなあ。
こんなホテル初めて。
さすがは大阪。

ワークショップは初日にやった名前を呼ぶというワークと、夜の練習セッション、2日目のセッションが面白かった。

名前ワークは前にもやったことがあるけども、新たな感覚がありました。

マインドフルネス瞑想の中で、目を閉じたまま、ランダムに周りの人から名前を呼んでもらうのです。

わたしは、声を掛けた人の方がびっくりするほど飛び上がります。

怖い。
ひたすら怖い。
馬が馴れた厩舎員を跳ね飛ばす勢い。

予期していない時に、予期していない方向から呼ばれたら、どんなに信頼している人からの穏やかな呼びかけも、恐怖体験。

普通の人は、トラウマが絡まない時は、柔らかく名前を呼ばれたら嬉しいみたいだけど…。

ああこんなに怖いのに、日常では普通のふりして隠しているんだなあ。

ようやくそれを体で表現できるくらいに、いろんなものが緩んできたんだなあ。
しみじみ…。

夜は練習ビデオ取り。
2ヶ月ぶりのアコンパニスト体験。

いつも感じることだけど、ワーカーさんの底力は凄いです。
どんどん自力で深みにたどり着く。

伴走できるのは宝物探しに連れて行ってもらえているみたいで、最高!

さてあと2人、一般人で体験してもいいよって人を探さなきゃいけないのですが、したい人いるかなあ。

今日はこちらも久しぶりのワーカー体験。

朝のシェアの最中に、他の方の話を聞きながら、久しぶりに涙と記憶が出てきたので、それを観ていきました。

遠縁の家の養女にいかないかと、小さい頃から実母に勧められていたのですが、(はた迷惑にも好意で!。相手がお金持ちだから(^_^;))、そのたびにけして嫌だと言わないわたしがいて、むしろいいよといつも答えていたという…。

育ての親という赤の他人に懐いていた後ろめたさ、荒れた実家ではなく、別の血縁者に縁つけようとする母親の好意と執着と嫉妬。

「もうこれ以上、わたしを棄てないで」そんな言葉が不意に浮かんで離れなくなったんだけど、言いたくてたまらなくなったんだけど、どうやっても口にできない。

言いたいことがあるんだけど…と口火を切りながら、途中は言いたくない、言いたくないと悲鳴です。

でも言いたい。

アコンパニストさんが
「何を言ってもいいよ…聞くよ」
と声かけしてくれたのですが、
わたしの中のチャイルドは
「誰もいない。」
と断言するばかり。

耳を傾けてくれる人がいないんじゃなく(もちろん実際にいませんでしたが)、言えるほど信頼したい相手がいない。

根源の記憶はいつも霧の中で終わります。
その先には誰もいない。
信頼したい相手は契約関係にある他人で、親が契約を解除したらおしまい。
親へ愛着を抱くことができないから、親にはけして言えない。

これ以上傷つけたくない。暴れて壊したくない。

でも、大泣きしているうちに、いきなり違う言葉になってきました。

「ここにいたい」
え?
言いたかったのは、そっちかい!?

それは小さなわたしが、けして見ようとしなかった小さな小さな願い。

どんな正当性も権利もないから、願うことすら意識的にはできなかった部分。

聞いてくれないのは、親でも育ての親でもなく、そんな願いを認めたら、もっと生き辛くなると確信していたわたし。

養女にいくか、と問われて、本当に言いたかったのは

お母さん、わたしのことそんなに嫌いなの?
とか
もうこれ以上遠くに追い出さないで
とかではなくて、

いいよ、行くよとすぐに答えてしまうわたしに、

ここにいたい

って言いたかったんだ…。

そうだよな~。
親や大人たちには何にも言いたくないよ。
人身売買される奴隷だもん。
状況が悪くなるだけで何にもいいことなんかない。

小さな小さな声で声かけしてもらいます。

ここにいたい
ここにいたい

ここって、どんなところ?
ふっと聞きたくなって新たに声かけ。

灰色の霧の中だよ。
何にもない。
暖かくてとても安全。
気持ちいい。

揺らぐ世界です。
誰の肉親でもなく、不安定な基盤しかなく、でもいちばん安心できるところ。

ゆったりと味わっていたら、戸惑った目をした小さな子が立っているのが見えました。

笑いたくない子です。
暴れたくもない子です。
そのまんまで静かに生きたい子です。

そのまんま大きくなっていいよ…。
大きくなったら居場所ができるよ。
ものすごく楽で楽しいよ。

わたしが、小さな子に声を掛けてます。

同じ霧の中だけど、自分で選び取った霧。
揺らぐかもしれないし壊れるかもしれないけど、今は自分で再構築できる世界。

「いたいだけ、ここにいていいよ…」

声かけしてもらった途端に、さぁっと霧が晴れて、次から次に花が開いていく一面の花畑になりました。

もう一度声かけしてもらったら、虫が飛び、風に雲が流れはじめました。

「ああ…、屋根も柱もいらないや」
「広くてとても気持ちいい…」

多分屋根や柱は、肉親の情とか血縁者とか、そういう狭い安全な世界。

わたしはそういうものより、1人で名前を呼ばれたら飛び上がるくらいに怖くても、自由がいい。

情は淡くていい。
全く疑わないけど、小さい頃からたくさんたくさんもらってきたけど、身を守る役にはちっともならなかったし、縋ろうとも思えない。

それにしても、あまりに小さな声だから、聞かない言わないことで辛うじて守ってこれたんだな~。

いい加減、気付けよー、聴けよーって、今だからこそ出てきたんだろうなあ。

アコンパニストさんがまた、なんの暴力も過剰な愛もなく、フラットに静かに寄り添ってくださったおかげで、なんとか浮かんでこれました。

抱きしめられたら窒息死していたね、きっと。

母性愛を語られたら圧死してしまったね。

そういう人くさいものはいらないです。
そこにはやっぱり行きたくない。

なんだかしみじみ、わたしはわたしでいたいんだなあと感じ入る展開となりました。

コメント