23.空中浮揚

なぜ私は浮いているのだ、

天はどこだ 地はどこだ

上下左右 方向感覚を失って

なぜまだ浮いているのだ。

世界は机の形をしていた。

中身のない外枠の家族

両足をぶった切られて、

いきなり空中に放り出された。

まあるく胎児の形を取る。

暴れられるものなら 暴れたい

叫べるものなら 叫びたい

でもそれは、原初の信頼を

知っているものにしか出来ない

離れ業

誰に届く この叫び 画像のない 無声映画

誰に響く この苦痛 人形の 動かぬ眼

エネルギーをください。

歩き方は知っている。

感情の統御は得意技。

大地をください。

踏みしめて歩ける基盤を。

コメント