青い鳥は家にいた

 

若いころから野鳥を見たいな、と思ってはいたけれど、生来の不精と朝寝坊でなかなか願いはかなわなかった。しっているのは、街中に集うムクドリとか、鳴き声のけたたましいヒヨドリ、なぜか職場脇の草むらに巣をつくっているヒバリくらい。トトトト、と歩くセグロセキレイは最近どこでも見かけるようになった。元職場は海辺なのでカワウはよく街灯に留まっている。川も近いのでコサギやアオサギはどこにでも。

でも鳴き声のかわいい野山の野鳥はどこだ?

10年ほど前に、とある美術館で梅の蜜を吸うメジロを見かけた。鳴き声がわかった。
そうしたら、なんと我が家にもメジロはいて、山茶花や椿の周りに鳴きかわしていた。

数年前、大きな公園の近くの友人宅で、ツピー、ツピーと鳴きかわす鳥がシジュウカラだとわかった。そうしたら、我が家でも毎朝鳴いていた。

いつもと違う鳴き声が気になって鳴き声図鑑を当たったら、メグロもいるのがわかった。草むらでツグミも発見。一度だけアカハラも。

そうして今日、アオジを見つけた。お腹が鮮やかに黄緑斑でなんだなんだ、と図鑑を当たる。ずっと北の鳥だと信じていたよ。冬は雪のない地方に来るんだね。

目に見えるものが真実だとつい思ってしまうので、野鳥はどこか山の中で探すもの、ここにはいないものだと思い込んでいたけれど、静かにその時々を捕らえてみれば、我が家も野鳥の園だった。でも全然わからなかったんだよ。ずっと。

世界のどの相に意識を向けているのか、それだけで世界は艶やかに変わる。
最近ではモズの高鳴きが聞こえる。春にはイソヒヨドリの美声が響く。

エナガが窓のすぐそばの松の木に群れることも。

 

いやほんと、青い鳥は家にいるんだね。

パラレルワールドはいまここにある。

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