23.父の背中

ワークショップの中で、誰かとペアを組んで「してもらいたいことをしてもらおう」というワークがありました。
膝枕、とか頭をなでてもらうとか、好きなことをしてもらうのです。

・・・敵前逃亡しようかと思ったんですよね。
スキンシップが心地よいと思えるのは、幼い頃に満ち足りた記憶があればこそ。
あんなふうに触れられたいと思う記憶は何一つなくて、してもらいたいことなんか思いつかなかったのです。
触られたら緊張して凍りつく自分の姿が目に浮かびます。
同性であれ、異性であれ、心地よさを伴わずに触れられたらセクシャル・アビュースでしかありません。

わたしには出来ない!!
どうしよう、やめようか。
サボタージュもOKだから、そうしようか?

その時ふと、思いつきました。

触りたいように触ってみるっていうのはどうかな?

参加されている男性の中に、自分や他人の体の表情がものすごく良く見える、繊細な身体感覚の方がいらっしゃったので、速攻で申し込みをしましたハート達(複数ハート)

背中合わせに座ってもらって、お互いに力を少しずつかけて受け止めての背中での対話を楽しんだり、膝を抱えて座ってもらって背中から思いっきり体重をかけて揺さぶってみたり、立ってもらって後ろからおんぶっぽくしがみついたり、くすぐったり。
支え手や補助は一切なしで遊んでもらいました。
最後のほうは背中に頭を寄せてゆらゆらと身体を揺らしてもらいました。

叩いても、つついても、蹴っても(蹴らないけど…)揺らがない背中。
でも、大人の男性の普通の体のように板が入ったような鈍感さとは程遠く、小さなアプローチにも即座に反応が返ってくる感受性の鋭い背中。

現実の父は40キロあるかないかの、虚弱な体と癇症な気性の持ち主で、触れたことも触れられたこともないけれど、これがお父さんの背中というものなのかなぁ。

…心地よかったです。

2.3歳の娘に触られているようだったと、後でその方に言われました。
わたしも3歳児の気分で遊んでいたので、ああ言葉がなくても伝わるものなんだなぁと嬉しくなりました。

「得られなかった体験は取り戻せる」

ikueさんはそう言われます。

欲しいのに得られなかった体験も取り戻せるかもしれないけど、知らないから望みもしなかった体験を新たに得ることもできるのだと、ワークの中で実感しました。

いつか、他人に触れられても平気な(…じゃなくてうれしい)日が来るのかもしれませんね。

ワークショップの打ち上げには全員とハグの交流をしました。
初日にはikueさんとも、指先でしか触れ合えなかったのですが、緊張や不快感なしに全身で交流\(⌒▽⌒)/

一人きりで立つしかなかった世界が、少しずつ広がっていく気がします。

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