22.魔女の鏡

「世界で一番美しいのは誰?」
「白雪姫」

自分の価値を鏡に問うたりしなければ、王妃は満足していられたはずです。

「わたしが一番美しい」

そう思っていれば、幸せになれたはず。

鏡は所詮、危うい保証でしかないのだから。

マイミクさんの日記の中に、孫が祖父母を愛するのは、祖父母自身を愛しているのではなくて、彼らと共にいるときの自分の状態を好んでいるのだという解説がありました。

わたしもそうなれたのかも知れません。
母がただドーンと構えて、あの子はあそこで幸せなんだな。
でも母親はわたし!
と胸を張って主張し、取り合うのではなく、祖父母からは得られない体験は何だろうと考え、子どもに与えようとしていれば。

彼女は張り合って、取り戻そうと子どもの幸福の邪魔をし、そして諦めた。
意識上では。
意識下では所有権を主張することだけに夢中になった。

そして一生、子どもたちに忌避された。

一緒に遊べば良かったのに。
あるいは、しつけをすれば良かったのに。

そうすれば、少なくともわたしは応えられた。

一番楽なのは、おばさんの家、でもお母さんはお母さんただ一人だと。(好悪は別として)

親としての手間を惜しんだから、「おばさんvs二階のおばさん」になってしまった。

家のわんこは旦那が一番好きです。
遊んでくれるし、おやつをくれるし、嫌なこと(病院とか目薬とか爪切りとか)をしないから。

でもボスはわたし。
わたしはそれでいいけどな。
自分の犬がたくさんの人に可愛がられるほうが。
そして、どんなよその子よりも家の子が一番美人で賢いと信じている親ばかです。

よその子を可愛がった後には、きちんと浮気チェックを受けて、お前が一番だよと態度で示しています。

大事なのは揺らがないで、自分なりの愛情を相手に伝わるまで示すことだけなんじゃないかな……。

わんこと自分を比べるのもなんですが、わたしが母の所有権を巡って混乱し、植物に妬いたり、他人の子に妬いたりしなくてもすんだと、思うのです。
母がドーンと構えて
「よその家でも可愛がられる我が子は最高!」
と思っていれば。

子どもが懐こうと懐くまいと、母はわたし。

たったそれだけの自信を持てたならば。

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