3.なんてかわいいこなんだろう

否定語が頭の中を駆け巡る。
苦しいので、呼吸を整え、自分の中に沈んでみた。

「なんて可愛い子なんだろう」

ふわりと、言葉が湧き上がった。

生まれたばかりの赤ちゃんを抱いて、つぶやいている大人。

わたしじゃなかった。
母だった。

驚いた。

頭では、知っていた。
ネグレクトも、愛情の産物だと。

彼女は自分では何もしなかったけど、最高の養い親を見つけてくれた。

それでも許せない怒りと、自己否定の嵐。

でも、
出てきた言葉は違っていた。

先日は
自分で自分を抱いたけど、

今回は
母がわたしを抱いていた。

やっと二歩。

大きな二歩。

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